Monday, 8 August 2011

【1人そうめん流し】ズズっ 寂しくもすずし

写真せせらぎとモーター音を聞きながら流しそうめんを一人食べる記者。遠くを見つめ、何を思う
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写真家庭用流しそうめん器=いずれも兵庫県たつの市、伊藤菜々子撮影
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 氷の上に盛られた白く細い麺を、つゆにつけてズズズー。日本の夏の定番の味、それが冷やしそうめん。でも、節電の今夏、エアコンを切った部屋では暑い。 やっぱり、そうめん流しだ。そこで手に入れたのが家庭用そうめん流し器。竹の上を流れるのではなく、洗面器みたいな中を流水プールのように麺が回る。そう めん回し器と言った方が正確か。ともかく乾電池で動かせ、屋外でも使える。子どもたちよ、自然の中でそうめんを流そう!
しかし、家族は「え~」。「がんばってね」と言われ、ひとり向かったのは兵庫県たつの市。揖保乃糸(いぼのいと)の産地である。揖保川の河川敷にせせらぎ公園があった。名前からして何とも涼しげ。独りぽっちの私は何とも寂しげ。
気を取り直し、河原にシートを敷き、流し器をセット。ペットボトルの水を流し込み、スタートボタンをポチッと押せば、ビィィィ~ン。ちょっと弱々 しい音がして水が回り出す。ちゃんと回るのか? お前だけが頼りなんだぞ。自宅からゆでて持ってきた揖保乃糸を流水に落とすと、回った、回った。この楽し さ、一緒に分かち合える相手がいないのが、ちょっと寂しい。
川の水に足を浸し、そうめんを箸ですくい上げる。ズズズー。うっ、この暑さで麺もつゆもぬるい。でも川面をわたる心地よい風。せせらぎも鳥の鳴き声も聞こえてくる。小魚が足指をツンツンしにくる。くせになりそう。
持参したそうめんは食べ終えたが、物足りない。せっかくだから本場の揖保乃糸資料館「そうめんの里」でそうめん流しを体験だ。「流し」というがこ ちらも「回し」。円卓の上で、魚の形のカマボコとともに揖保乃糸が回る。「流すだけでイベント性が出てくる。だから暑くても楽しんで食べられます」と松本 栄一副館長。なるほど。
水の中を回り続ける細い細いそうめんを見ていると、どこへともなく流れゆく人生もかっこいいけど、めぐり来る喜びや苦難に一喜一憂しつつ過ごす人 生もまた、捨てたもんではない。そんな気もしてくる。うどんやそばでは、こうはいかない。奥深いそうめんの世界……。でも、やっぱり、今度はみんなで来た い!(深松真司)
■3683円
そうめん流し器代2980円、水2リットルペットボトル178円(そうめん、つゆ、薬味は自宅から持参)。「そうめんの里」そうめん流し525円。
■メモ そうめん流し器はホームセンターやネットで買える。回転式が多いが、竹を組んで流すものも。約2千~1万円台。「そうめんの 里」(0791・65・9000)はたつの市神岡町奥村56。そうめん流しは午前11時~午後4時。そうめん作りの歴史を紹介する展示室もあり、大人 300円。月曜休館。

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